星座早見は使えない
 ものなんだろうか?
           熊本県民天文台 台長 艶島敬昭

 
     最近、時々、「星座早見は(小4には)使えない」との主張が展開されているのを見かけます。でも、本当に「使えない」ものなのでしょうか?
 
 
   < 活用して欲しいと考えている >  
   
 私は、星座早見盤を使えるようになることは天体観察の基礎の1つだと考えていて、「星座早見盤が使えない」のはなぜか、どうすれば使えるようになるか、という視点から実習プログラムを組み立ててきました。 学校や保護者会や子供会、さらに生涯学習イベントなどでこのプログラム(電子紙芝居)を使って「星座早見」の使い方を解説し、実施したあとの質問などを元に、少しずつ解説を改善しています。

 
   < 学校との連携に基づいて考察すると  >  
   


 熊本で、私たちが体験学習に関わったいくつかの小学校での実施例を元に考察すると、「星座早見の使い方」について、先生方や子ども達には「つまずきやすいポイント」がいくつかあって、そこさえクリアできれば、大半の子ども達は(保護者や先生達も)「星座早見をうまく使えるようになる」ことが分かってきました。

 
   < 理解していること と 落とし穴 >  
   
 保護者や先生や子ども達が「星座早見」について理解していることは、通常、「星座早見盤を回して、日付と時刻を合わせる」ことだけです。 そして、日付と時刻を合わせると、いきなり頭の上に振りかざし、「ああでもない、こうでもない!」とパニックに陥ったりします。 観察場所での「東西南北」の方位をたしかめず、また、今自分がどちらの方角を向いて立っているかに無頓着なまま、星を探そうとするからです。

 
   < では、どうするか?  >  
   
  私たちは、まず、「日付と時刻」を合わせた星座早見盤をしっかりと握りしめてもらいます(時刻と日付がずれないように)。 ついで、早見盤の「南」と書いてある文字が下になるように持ち、南の方角を向いて頂きます。いきなり頭の真上を見上げるのではなく、南の方角の空の中程をチョット見上げる格好になって頂くのです。
 
 
   < そこに見えているのは・・・ >  
   
  そこに見えているのは、その季節の南の星空、南を下にして持っている星座早見で言えば下側3分の一くらいの範囲です。星座早見の星が見えている楕円形の窓の真ん中あたりが天頂、つまり自分の頭の真上だと、ここで教えます。
  今の季節なら、南東の空の中程やや低いところに、ぽつんと1つ明るい星が見え、星座早見からその星が「フォーマルハウト」という星だとすぐに分かります。
 
 
   < 自分で発見すると >  
   
  簡単な星座早見を使って、自分で「あの星がフォーマルハウトだ!」と発見すると、子ども達や保護者や先生達の目が輝きます。 それまで、「星座早見なんて、わけがわかんない!!」 と思っていたのですから大感激なんです。

 
   < そこで方位の大切さを >  
   
星を一個自分で発見できた感激が薄れないうちに、その場所での東西南北の方角をもう一度確かめてもらいましょう。周りの景色の中に目印を見つけてもらうのが一番良いですね。自分が今どの方位を向いているか、しっかりと確かめる癖を付けてもらうことが星空観察の基本だからです。

 
   < 東や、北や、西も >  
   
 東や、北や、西も、同じようにして中程の高さの星空を見上げてもらいます。
その際、星座早見の周囲に書いてある東や北や西の文字を、それぞれ下になるように、星座早見盤全体を回しながら使ってもらうのです。
  (時刻と日付がずれないように注意して!)
 明るい星を見つけたら、星座早見で名前を確かめましょう。

 
   < 星座早見って使える! 役に立つ!! >  
   


そうです、評価が変わってきたでしょう?
星座早見は、簡単だけど、とても便利な道具なんです。

 

 
   < 頭の真上を見上げる時は、足の向きに注意 >  
   
 星座早見の使い方になれたら、頭の真上を見上げてみましょう。
そのとき注意することは・・・・・・・
自分の足(つま先)が向いている方向を確かめること。
南を向いたまま頭の真上を見上げる時は、星座早見の「南」を下にして手に持ったまま、頭の上に振りかざして下さい。
  地面に寝転がって見上げる時も、伸ばした足の先がどの方位を向いているか、そして、その方位の文字を下にして星座早見を持つってことを忘れないでね!

ほら!明るい星が見えていて、同じ形が星座早見盤の中央付近にも!!
 
 
   <星の観察と学習効果 >  
   


 私たちは、こんなふうにして星座早見の使い方と合わせて、角度を使って星の位置をはかり記録するという実習を小学校4年生向けに実施しています。

上記のような観察手順で星の観察や星の位置の記録を体験すると、方位や角度という概念について、子ども達は楽しくしかも身近な問題として学習が進むようです。 ちょうど4年生では角度を学習することになっていますから、角度を使えば、夏の大三角や冬の大三角の大きさもしっかり理解でき、一石2鳥です!

 また、子ども達には「なぜこんな学習や体験をするか?」という動機付けも大切でなようです。私たちは「むちゃくちゃ明るい流れ星を見た時、それは隕石の落下かも知れないが、天文台に電話して、どんなふうに知らせればいいか?」とか、「UFOらしい怪しい光を見つけたら?」とか、子ども達にとって楽しくなりそうな話題を用意して、体験学習そのものに興味を持ってもらえるよう工夫しています。

 いろんな解説のなかでも、太陽や地球は宇宙に浮かんでいて、周りの宇宙が星空として見えている。地球が毎日自転し、1年がかりで太陽の周りを公転するとき、地上にいる私たちには、取り巻いている宇宙のそれぞれ違う方向が見えている 、という解説が最近人気です。
 「そうだったのかー!」という大人達の感嘆の声も聞こえてくるのですが、この内容はとても基本的なことで、現代人にとっての宇宙や星空に関する「常識」であって欲しいと思っています。

 
   
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